転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


522 穴が開いてたら、そこから落ちちゃうよね



 大豆のお菓子を作った次の日、僕は作業部屋にいたんだ。

 何でかって言うとね、昨日大豆を粉にする魔道具の作り方を思いついたのに、もう粉になっちゃってたからそれを作んないでお菓子を作ったでしょ?

 だから、思いついたのを忘れちゃわないうちに作っちゃおうって思ったからなんだ。

「とりあえず作り方は解ってるんだから、今ある材料で試しに作ってみよっと」

 大豆を粉にする魔道具はね、前の世界にあったコーヒーって言うかったい豆を粉にしちゃう道具とおんなじもんなんだよね。

 それがどんなのかって言うと、筒状の入れもんの底にお花みたいな形の鋼でできた4枚の羽根が付いてて、その羽がすっごい速さで回る事で中に入れたかったい豆が粉々になっちゃうって言う道具なんだ。

「まずは鋼の羽根を作んないとね」

 僕はポシェットの中からいっつも使ってる鋼の玉を取り出して、形を思い浮かべながらクリア糸魔法を使ったんだよ。

 そしたら鋼の玉はすぐに形を変えて、お花みたいな形の刃が出来上がったんだ。

 でもね、すぐにこっれじゃダメって事に気が付いたんだ。

「羽だけ作っても、後から回転の魔道具にくっつけられないじゃないか」

 この鋼の羽、形がちょっと変わってるでしょ?

 だからそこばっかり考えて作っちゃったもんだから、軸をつけなかったんだよね。

 でも軸が無いと回転の魔道具にくっつけられないでしょ?

「これじゃダメだから、もういっぺん作り直さなきゃ」

 僕はそう思いながら今作ったばっかりの羽をもったんだけど、その時にふと思ったんだ。

 そう言えばこの羽に軸をつけるって事は、入れもんの底に穴を開けるって事だよね?

「そしたらさ、粉になった大豆が、そこから出てきちゃうかも」

 大豆のまんまだったらおっきいから、もし入れもんの下に穴が開いてたってそこから出てくるなんて事ないでしょ?

 でも粉にしちゃったらちっちゃくなるから、んが開いてたら絶対底から出てきちゃうよね。

「簡単に作れると思ってたけど、思ったより難しいかも」

 回転の魔道具は何回も作ってから、これも簡単に作れるって思ってたんだよね。

 でも穴から粉が出てこなくする方法なんて、僕、どうやったらいいのか解んないもん。

 だからどうしたらいいか、全然解んなくなっちゃったんだ。

「う〜ん……あっ、そうだ! お母さんに聞いてみよ」

 お母さんは大人でしょ?

 僕が解んない事でも、大人のお母さんだったらもしかしたらすぐに解っちゃうかもしれないもん。

 だから僕は作業部屋から出て、台所にいるお母さんのとこに行ったんだ。


 台所に行くとお母さん方から、僕はさっそく聞いてみる事にしたんだ。

「お母さん、ちょっと聞いていい?」

「あら、ルディーン。何か解らない事があるの?」

「うん。あのね、穴が開いてても粉が落ちなくするのって、どうしたらいいと思う?」

 僕がそう聞いてみたらね、お母さんはとっても不思議そうなお顔になっちゃったんだ。

「えっと、穴が開いているのよね? なら、そこに蓋をすればいいんじゃないの?」

「それができないから聞いてるんじゃないか!」

 穴に蓋をしたら、回転の魔道具につける羽の軸が通せなくなっちゃうもん。

 だからそんな事、できるはずが無いんだ。

「なるほど。その穴はふさぐ事ができないのね? でも、そこからは粉が出ないようにしたいと」

「うん。なんかいい方法、無い?」

「えっと、そもそも、なぜそんな事を知りたいと思ったの?」

 お母さんはね、なんで穴が開いてるとこに粉を入れようと思ったのか解んなかったみたい。

 だからどうしてそれが知りたいの? って聞いてきたもんだから、僕は今作ろうとしてる大豆を粉にする魔道具の事を教えてあげたんだ。

「だからね、羽を回そうと思ったら、入れもんの下に穴を開けなきゃダメなんだ」

「なるほど。でも、それなら思ったよりも簡単かもしれないわね」

「ええっ! 簡単なの?」

 一生懸命考えたのに、どうしたらいいか全然解んなかったでしょ?

 なのにお母さんは、そんなの簡単だよって言うんだもん。

 だから僕、すっごくびっくりしてどうやるの? って聞いてみたんだ。

 そしたらさ、落ちるなたそのまま落とせばいいじゃないのって。

「そのまんま落とすの?」

「ええ。今作ろうと思っているのって、大豆を粉にする魔道具なんでしょ? ならその回転する刃をつける入れ物の底を、粉になった大豆が通るくらいの網にすればいいんじゃないかしら? そうすれば細かくなったものだけが下に落ちるでしょ?」

 お母さんはね、どうせ落ちるんだったら魔道具の下を粉ふるいみたいにしたらいいんじゃないの? って言うんだよね。

 だってそうしとけばできた粉はしたの入れもんに入っちゃうし、魔道具についてる粉も振るったり刷毛で払ったりすれば全部落ちちゃうでしょって。

「そっか! それに、そしたら魔道具から他の入れもんに移さなくっても良くなるもんね」 

「ええ。お母さんも、その方が便利だと思うわよ」

 僕、粉になった大豆は絶対入れもんから落ちないようにしないとって思ってたんだよ?

 なのに、落ちるんだったら落としちゃえばいいじゃないかなんて。

 僕のお母さん、もしかしたら天才かも?

「お母さん、ありがとう。そういうの、作ってくるね」

「ええ、行ってらっしゃい」

 お母さんに作り方を教えてもらった僕は、もういっぺん作業部屋に戻って魔道具を作り始めたんだ。

「魔道リキッドで動くようにすると作るのがちょっと大変そうだから、魔道乾電池で動くようにしよと」

 最初に考えてたのと違って、今回のは回転の魔道具がついてるとこに大豆の粉が落ちてくるでしょ?

 もしそこに魔道リキッドを入れるとこをつけようと思ったら、粉が絶対入らないようにしないとダメだもん。

 だから今回は、前に作った魔道乾電池を使う事にしたんだ。

 だってこれだったらちょっとくらい粉が入っても大丈夫だし、それに使った魔力は僕かキャリーナ姉ちゃんが入れなおさないとダメだけど、僕んちで使うだけだったら問題ないもんね。

 こうして回転する鋼のお花を作ったら、今度は入れもんづくり。

 粉が落ちるとこには回転の魔道具が、上からにょきって生えてるでしょ?

 だからちょっと長くなっちゃうって事で、安定するように下に行くほど広くなるような筒にしたんだ。

 でね、粉ふるいの網と鋼のお花がついた回転の魔道具が底についてる銅製の入れもんを、その筒に入るとこと上の蓋がかぶさるとこだけをちょびっとだけ細くなるようにして作成。

 そして最後に、大豆が粉になる時に入れもんの中で暴れても大丈夫なようにって丸っこい形の蓋を作ったら完成だ。

「できた! お母さんに見せてこよっと」

 って事で、早速その魔道具を持って台所へ。

 そしたら僕が来るのが解ってたみたいに、お母さんが大豆を炒りながら待っててくれたんだよ。

 でね、僕の作った魔道具を見ると、

「あら、こんな形になったのね。う〜ん、それなら一番下の所に袋をかぶせた方が使いやすいかも?」

 こんな事を言いながら回転の魔道具がついてる上の入れもんを外して、そこに布の袋を入れたんだよ。

「やっぱり。豆を入れる器の下が少し細くなってるみたいだったから、布を入れてもしっかりとはまると思ったのよね」

「この方がいいの?」

「ええ。こうしておけば粉の保存も楽だし、何より洗う手間が省けるもの」

 僕、魔道具を作る事ばっかりで、後で洗う事なんて全然考えてなかったんだ。

 でもお母さんは、この魔道具を見ただけですぐに袋を入れる事を思いついちゃったんだもん。

 すっごく頭いいよね。

「それじゃあ、早速動かしてみましょう」

「うん!」

 僕はお母さんが炒ってくれてた大豆を魔道具に入れると、早速スイッチを入れたんだよ。

 そしたらすっごい音がしたもんだから、僕もお母さんもちょっとびっくり。

 でもその音もすぐにちっちゃくなっていって、最後には鋼のお花が回るお歳かしなくなっちゃったんだ。

「開けてみるね」

 って事でスイッチを切った僕は、早速ふたを開けてみる事に。

 そしたら大豆がみんな粉になっちゃってて、結構入れたはずなのにそこにはほとんど残ってなかったんだ。

「うん、これだたら、ちょっと振るったらほとんど落ちちゃいそうね」

 でね、僕の横から覗き込んでたお母さんは。回転の魔道具がついてる真ん中のとこと中に入れた布の袋を一緒に持ち上げてフリフリ。

 そしたらね、中に残ってた大豆の粉も、全部下の袋の中に落ちちゃったんだ。


「思ったよりも、きれいに粉になっているわね。これだったらすり鉢ですらなくっても、すぐに使えそうね」

「うん。ちゃんとふわふわだね」

 その後袋の中の大豆の粉を見てみると、こないだお母さんたちがすり鉢ですってくれたのとおんなじくらいふわふわの粉になってたんだよ。

 だから僕とお母さんはその粉を見て、これからは簡単に大豆のお菓子が食べらてるねって笑ったんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。

 我が家にあるコーヒーメーカーについているミルは、器の軸周りが飛び出すようになっていて、それを覆うように刃の方からも覆いがつけてあるから粉が外に出るようなんてことはありません。

 でもルディーン君がそんな事、思いつくはずがないですよね?

 って事で、実はこれに気が付いた時にちょっと困ってしまいました。

 でもまぁ、何とかつじつまが合わせられて一安心です。なにせ作ると本編で書いてしまいましたからね。

 これからは何か作ろうという時は、ちゃんと考えてから書かないといけないなぁと思わせるエピソードでした。


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